月別アーカイブ: 8月 2014

<2014年8月よりレーザー治療をはじめました>

下肢静脈瘤に対するレーザー治療は、逆流のある静脈内部にレーザーファイバーを挿入し、レーザーで静脈を焼灼して血流を遮断してしまう治療法です。写真① (画像提供 株式会社インテグラル) 本邦では2011年1月にレーザー治療器(波長980nm)が保険適応となり臨床応用されて来ました。しかし、このレーザーは痛みや出血がストリッピング手術以上に問題となることがあり、当院では採用を控えておりました。2014年5月からは、これらの問題点を大幅に改良した新たなレーザー治療器(波長1470nm)が保険適応となりました。これに合わせて当院では、本年8月にこの最新式ELVeS®レーザー(波長1470nm インテグラル社製)を導入し治療に当たっています。このレーザー治療器は、十勝管内では当院のみ、道内でも当院を含め2施設しかありません(2014.8.21時点)。写真② (画像提供 株式会社インテグラル) <従来の980nmレーザーと最新式の1470nmレーザーとの違い> レーザーの波長と照射方法が異なります。図③ (画像提供 株式会社インテグラル) 従来の治療器は波長980nmのレーザーが先端から前方へビーム状に照射され、これが血液に吸収されて静脈を焼灼、その結果として静脈血流が遮断されるものでした。このレーザー治療器では静脈の穿孔、出血を生じることがあり、術後の皮下出血や痛みが大きな問題でした。また、980nmのレーザーは赤血球に吸収され、これを介して静脈壁を焼灼するため、静脈閉塞が不完全になりがちでした。 このたび当科で導入した波長1470nmのレーザー治療器は、先端の2か所からリング状に360度全周性にレーザーが出力され均一に焼灼されます(ラディアル2リングファイバー)。従来のレーザーと比較して静脈の穿孔が生じにくく、痛みや皮下出血が大幅に軽減されています。また、1470nmのレーザーは静脈壁内の水分に吸収されて直接、静脈壁を焼灼するため静脈閉塞が完全になります。治療効果はストリッピング手術と遜色なく画期的な治療装置と言えます。表① <当院での治療法> レーザー治療では、その20%程度にEHIT(endvenous heat-induced thrombus)という熱による血栓が生じます。この血栓が増大し、深部静脈血栓症から肺塞栓症を発症する危険性はほとんど無いと言われていますが皆無ではないようです。また、静脈逆流の根っこである伏在大腿静脈接合部の分枝血管を処理しないために、分枝血管からの再発を来す可能性が指摘されています。 当院におけるレーザー治療では、これらの深部静脈血栓症と静脈瘤再発を回避する目的で、原則として伏在静脈の高位結紮術を併用しています。高位結紮術は鼠径部の皺にあわせて小切開するため、創が目立つことはありません。レーザーファイバーを挿入した創は針穴ほどの大きさであり、これもほとんど目立ちません。 施設によってはレーザー治療のみを施行して瘤を切除しない実施医も多く見られます。頻度は少ないですが、症例によっては瘤内血栓を生じ疼痛や色素沈着を起こしてしまうことがあります。これらの合併症を回避し、より確実で満足度の高い治癒を目指して、当院では必要に応じて瘤切除を追加します。針穴から特殊な器械を使って切除するStab Avulsionという方法ですが、創は針穴のためほとんど分からなくなります。従来のストリッピング手術と同様に日帰り手術です(同日入退院)。侵襲が比較的軽い治療法であるため、翌日より通常の仕事が可能となります。遠方から来院された患者さんは入院対応も可能ですので、外来看護師にご相談下さい。 尚、上述した高位結紮術やStab Avulsion法を追加しても、治療費はレーザー焼灼術のみの場合と同額になります。 <麻酔> 局所麻酔と軽い全身麻酔を併用しておこないます。 <適応> 患者さんによっては適応とならないタイプの静脈瘤もあります。その場合は従来の日帰りストリッピング手術をお勧めする場合があります。詳しくは診察時にお尋ねください。 <術後> 術後は1時間の安静臥床後に歩行して問題ないことを確認して帰宅して頂きます。当日は車の運転は控えて下さい。その後はストリッピング手術に準じて通院していただきます。詳しくはストリッピング手術のページを参照して下さい。ストリッピング手術と異なる点として、静脈閉塞状況を確認するため、術後に下肢超音波検査が必要となります。 <最後に> 下肢の静脈瘤にお悩みの方、まずは受診してみてはいかがでしょうか。 静脈瘤に関する診療を希望される患者さんは、諸検査がありますので朝10時までに受診して下さい。

カテゴリー: お知らせ | コメントをどうぞ