診療のご案内

『日帰りストリッピング+瘤切除術』の利点と欠点

利点

(1)高位結紮術と比較して

  • 再発率が極めて低い
  • 硬化療法が不要、従って硬化療法による合併症(疼痛、色素沈着、水疱形成、血栓症、他)がない
  • 早期に症状が改善する
  • 上記に関連して、患者-医師の相互信頼が損なわれない(患者さんの期待にマッチした結果)
  • 保険が適応される(理に適った保険点数)

(2)レーザー焼灼術と比較して

  • 再発率が低い(レーザー焼灼術は基本的に高位結紮を行わないため晩期に再発する懸念がある)
  • 麻酔が簡単である(レーザー焼灼術ではエコーガイド下に大量の局所浸潤麻酔を要する)
  • 疼痛が持続しない(レーザー焼灼術では、術後数日から10日間程度痛みが持続する)
  • 保険が適応される(レーザー焼灼術では、波長が980nmレーザーは保険が適応になるが、最も合併症が少なく治療効果も高いとされる1470nmレーザーは保険がきかず自由診療となっている)
  • 保険が適応される(理に適った保険点数)

(3)従来の腰椎麻酔下ストリッピングと比較して

  • 簡単、安全、患者さんに喜ばれる(外来治療)
  • 患者さんの羞恥心が抑えられる
  • 術後早期(1時間後)より食事や歩行など、日常生活が可能となる
  • 深部静脈血栓症を予防しうる
  • 伏在神経障害が少ない
  • 術後疼痛が少ない
  • 高齢者(75歳以上)にも安全

欠点

  • 創が2ヶ所以上となる(創の大きさは1.5cm以内)
  • 麻酔による制限がある
  • 腰麻下よりは少ないが、伏在または腓腹神経障害を来す可能性がある

下肢静脈瘤ストリッピング手術を受けられる方へ

ストリッピング手術は、古くより最も広く行われている静脈瘤の確実な治療法です。当院では、この手術を日帰りで行うことを勧めています。当院での一般的治療経過についてご説明いたします。

足に弾力包帯を巻きます

足に弾力包帯を巻きます

【手術当日、術前】朝食はいつもの量の半分にしてください。それ以降は絶飲食となります。指定の時間までに来院してください。

【手術当日、術後】術直後に足に自己粘着性弾力包帯を巻きます。外来にて1時間安静臥床後、帰宅となります。

外来にて1時間安静臥床

外来にて1時間安静臥床

  • 弾力包帯を巻いている期間(3日間)は、膝は出来るだけ曲げないような歩行もしくは座り方をして下さい。(弾力包帯が、膝の裏にくい込むため)
  • 食事、洗濯、掃除などの家事は差し支えありませんが、仕事(強制労働)はひかえてください。
  • 弾力包帯のため、足背がむくんだり、皮膚にくい込んで痛くなることがあります。気になることがありましたら、遠慮なく当院救急外来へご連絡下さい(Tel:0155-62-2811)
  • 抗生物質、痛み止め、胃薬が3日間処方されますので、毎食後に服用してください。

【術後3日目】術後、初めての外来受診日となります。抜糸(抜鉤)を行い、創処置は終了します。弾力包帯をはずし、代わりに弾性ストッキングを装着していただきます。夕方に絆創膏を剥がしてシャワー浴が可能となります

  • 足のむくみや、ストリッピング後の内出血が多少見られます。むくみは弾性ストッキングに替えて2~3日で、内出血は2~3週間で自然に治ります。
  • 夕方に絆創膏を剥がしてシャワー浴が可能となります。
  • 仕事(極端な重労働は除く)を始めていただいて結構です。但し、正座は傷の安静のため、術後1ヶ月間はひかえた方がよいでしょう。
  • 弾性ストッキングは1ヶ月間の装着が必要です。就寝時は脱いでいただいて結構です。

【術後7日目】術後、2回目の外来受診日となります。傷の状態を観察します。

抜糸を行い、創処置の終了

抜糸を行い、創処置の終了

  • 傷の状態を観察します。
  • 静脈不全症状が改善するために、術前みられた下肢のだるさ、夕方のむくみ感、こむら返りなどはほとんど消失します。
  • 温泉、激しいスポーツなどは炎症を助長しますので1ヶ月間控えましょう。
  • 弾性ストッキングを装着し、重労働も問題ありません。

【術後1ヶ月】術後、3回目の外来受診日となります。弾性ストッキングは終了です。

  • 但し長時間起立位でだるいなどの症状がある場合は、その都度弾性ストッキングを装着されることを勧めます。
  • 手術の影響も次第になくなり、下肢は全体的に細くなってだるさもとれ、健康な状態になります。
  • 瘤は通常消失していますが、まれに小さいものが残っていることがあります。この場合は、注射で治す硬化療法という方法を行うことがあります。(外来で、10分間ほどで終了します。)
4ヶ月の比較

4ヶ月の比較

【術後6~12ヶ月】小さい皮膚切開のため、傷はほとんど分からないくらい綺麗になります。

レーザー治療

<2014年8月よりレーザー治療をはじめました>

下肢静脈瘤に対するレーザー治療は、逆流のある静脈内部にレーザーファイバーを挿入し、レーザーで静脈を焼灼して血流を遮断してしまう治療法です。写真①

本邦では2011年1月にレーザー治療器(波長980nm)が保険適応となり臨床応用されて来ました。しかし、このレーザーは痛みや出血がストリッピング手術以上に問題となることがあり、当院では採用を控えておりました。2014年5月からは、これらの問題点を大幅に改良した新たなレーザー治療器(波長1470nm)が保険適応となりました。これに合わせて当院では、本年8月にこの最新式ELVeS®レーザー(波長1470nm インテグラル社製)を導入し治療に当たっています。このレーザー治療器は、十勝管内では当院のみ、道内でも当院を含め2施設しかありません(2014.8.21時点)。写真②


写真①(画像提供 株式会社インテグラル)


写真②(画像提供 株式会社インテグラル)

<従来の980nmレーザーと最新式の1470nmレーザーとの違い>

レーザーの波長と照射方法が異なります。図③


図③(画像提供 株式会社インテグラル)

従来の治療器は波長980nmのレーザーが先端から前方へビーム状に照射され、これが血液に吸収されて静脈を焼灼、その結果として静脈血流が遮断されるものでした。このレーザー治療器では静脈の穿孔、出血を生じることがあり、術後の皮下出血や痛みが大きな問題でした。また、980nmのレーザーは赤血球に吸収され、これを介して静脈壁を焼灼するため、静脈閉塞が不完全になりがちでした。
このたび当科で導入した波長1470nmのレーザー治療器は、先端の2か所からリング状に360度全周性にレーザーが出力され均一に焼灼されます(ラディアル2リングファイバー)。従来のレーザーと比較して静脈の穿孔が生じにくく、痛みや皮下出血が大幅に軽減されています。また、1470nmのレーザーは静脈壁内の水分に吸収されて直接、静脈壁を焼灼するため静脈閉塞が完全になります。治療効果はストリッピング手術と遜色なく画期的な治療装置と言えます。表①

980nm 1470nm
レーザー照射方法 先端から前方へ 2箇所から円周性に全周へ
レーザー光の吸収 赤血球 静脈壁の水分
痛み >>
皮下出血 >>
神経障害
術後血栓症
手術時間
傷痕
家事労働 手術当日から 手術当日から
車の運転 翌日から 翌日から
肉体労働 3日後から 翌日から

<当院での治療法>

レーザー治療では、その20%程度にEHIT(endvenous heat-induced thrombus)という熱による血栓が生じます。この血栓が増大し、深部静脈血栓症から肺塞栓症を発症する危険性はほとんど無いと言われていますが皆無ではないようです。また、静脈逆流の根っこである伏在大腿静脈接合部の分枝血管を処理しないために、分枝血管からの再発を来す可能性が指摘されています。
当院におけるレーザー治療では、これらの深部静脈血栓症と静脈瘤再発を回避する目的で、原則として伏在静脈の高位結紮術を併用しています。高位結紮術は鼠径部の皺にあわせて小切開するため、創が目立つことはありません。レーザーファイバーを挿入した創は針穴ほどの大きさであり、これもほとんど目立ちません。
施設によってはレーザー治療のみを施行して瘤を切除しない実施医も多く見られます。頻度は少ないですが、症例によっては瘤内血栓を生じ疼痛や色素沈着を起こしてしまうことがあります。これらの合併症を回避し、より確実で満足度の高い治癒を目指して、当院では必要に応じて瘤切除を追加します。針穴から特殊な器械を使って切除するStab Avulsionという方法ですが、創は針穴のためほとんど分からなくなります。従来のストリッピング手術と同様に日帰り手術です(同日入退院)。侵襲が比較的軽い治療法であるため、翌日より通常の仕事が可能となります。遠方から来院された患者さんは入院対応も可能ですので、外来看護師にご相談下さい。
尚、上述した高位結紮術やStab Avulsion法を追加しても、治療費はレーザー焼灼術のみの場合と同額になります。

<麻酔>

局所麻酔と軽い全身麻酔を併用しておこないます。

<適応>

患者さんによっては適応とならないタイプの静脈瘤もあります。その場合は従来の日帰りストリッピング手術をお勧めする場合があります。詳しくは診察時にお尋ねください。

<術後>

術後は1時間の安静臥床後に歩行して問題ないことを確認して帰宅して頂きます。当日は車の運転は控えて下さい。その後はストリッピング手術に準じて通院していただきます。詳しくはストリッピング手術のページを参照して下さい。ストリッピング手術と異なる点として、静脈閉塞状況を確認するため、術後に下肢超音波検査が必要となります。

ストリッピング手術とレーザー焼灼術の主な違い

ストリッピング手術 結紮術+レーザー(1470nm)
日帰り入院 = 日帰り入院
適応 重篤症例 軽症、中等症
○痛み ±
○皮下出血 >> ±
神経障害 ±
術後血栓症 ほぼ無し ほぼ無し
○再発 ≦or≒ ±
手術時間
傷痕 ± ±
車の運転 翌日から 翌日から
家事労働 手術当日から 手術当日から
○肉体労働 3日後から 翌日から
シャワー浴 3日後から 3日後から
入浴 7日後から 7日後から
○旅行・スポーツ 1ヶ月後から 2週間後から
温泉・サウナ・正座 1ヶ月後から 1ヶ月後から

<最後に>

下肢の静脈瘤にお悩みの方、まずは受診してみてはいかがでしょうか。
静脈瘤に関する診療を希望される患者さんは、諸検査がありますので朝10時までに受診して下さい。
下記の静脈瘤問診票を印刷し記入して来院して下されば診察がスムーズに行えます。(印刷の出来ない方は当日外来での記入となります)

静脈瘤問診票
静脈瘤問診票

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