公立芽室病院だより 第52号

 十勝町村立診療施設協議会主催の公開シンポジウムが昨年に引き続き2月18日にめむろ駅前プラザセミナーホールで開かれました。今年のテーマは 「地域の中 での町村立病院の役割」?住民の中で医療を考えよう?で、会場には一般町民を含む120名が来場し、これからの地域医療はどうなるのか?まちづくりにとっ ての医療とは何かを、行政とのかかわりの中でさらに深めることを目的にして開催されました。第 1部では「町村立病院が変われば町や村が変わる」と題し、せたな町瀬棚国民健康保険医科診療所所長の村上智彦先生の基調講演がありました。瀬棚町は平成 17年に近隣の大成町、北檜山町と合併し人口11,000人のせたな町に生まれ変わりましたが、今回の講演では合併する前の瀬 棚町がどのように診療所を開 設し、どのような医療活動を行ってきたかを様々な保健活動とともにわかりやすく話されました。以下その内容についてお知らせします。

き地の医療

 瀬棚町は鉄道が廃線となり陸の孤島 と言われています。重症な患 者が発生したときには救急車で1時間かかる八雲町へ搬送します。脳外科の手術が必要な患者さんは函館まで3時間かけて運びます。公的な医療機関がなかった 瀬棚町に平成12年に医療センターができました。16床の有床診療所に歯科医、ディケアと訪問看護ステーションと保健センターと社会福祉協議会がありま す。田舎と言うのは患者さんが病院を選べないので医療機関が間口を広げ、小児からターミナルケア、在宅医療まで何でもやらなければなりません。

っ て???

 WHOは健康の定義を「完全な肉体 的、精神的及び社会的福祉の 活気(dynamic)ある状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」としています。自分の健康を考えたとき病気とかお医者さんを中心に考 えてはおかしい。住民の健康問題に取り組んだとき、高度な医療の充実が必ずしも地域住民の健康を約束するものではありません。平均寿命が日本で1番長い長 野県は、集団検診を初めてやった県です。住民健診を受ける人と受けない人では、受ける人のほうが平均寿命が長く、これは早期発見・早期治療されるからでは なく、もともと健康意識の高い人たちが健診を受けるから寿命が長いということです。健康意識の高い人たちは、塩分に気をつけたり、体重を気にしたりしてい ます。健康意識が高ければ、医療費が減って、健康な人がいて労働力も維持されます。予防医学を具体化して、住民や行政に理解してもらい、住民の病院に健康 を全て任せるという依存心を変えていただくための道具として、肺炎球菌ワクチンの公費助成をはじめました。

瀬棚町の取り


Dr.村上  瀬棚町は人口2,700人で保健師が5人います。保健師は行政と医療の両方ができる人たちです。病院依存の健康意識を変えるために、肺炎球菌ワクチンの公 費助成を実現し、予防医学を具体化しました。尿のピロリ菌の抗体検査では、小学生の健診でも親の同意を得て検査し、ピロリ菌がいるということは将来的に胃 潰瘍や胃癌になる危険が高くなるという事を考える教材にしました。他にも、ニコチンパッチの公費助成を導入し、禁煙による医療費削減を目指します。一番大 事なのは、しっかりした情報提供を行い、参加者を増やすことです。様々な予防政策が功を奏し、旧瀬棚町では医療費の減少などの成果を上げることができまし た。また、全国的にも瀬棚が注目を集めることとなりました。 現在、3町が合併し首長が代わり、予防に対する考え方が変わったため、18年度から多くの予防政策が打ち切られる事態に直面しています。高齢化と過疎化の 問題を抱えた地方の生き残りを、保健の面で支えるには、更なる行政・医療・福祉の連携が必要です。活力ある地域を作りだすためには、住民が健康であるため の予防医療の重要性を、住民自身が理解することが大切なのです。

シンポジストの要旨
広域行政を考える立場から
十勝地方政府研究会 代表運営委員 西科 純氏

  合併問題を考える時に、広い北海道ということもあって道州制の問題と十勝を含めて支庁改革、町村合併の3つセットで考えていかなければ北海道の自治につい ては語れないのではないかと思います。今までの合併論は、支庁改革や期限があったために時間的に限られたなかで市町村財政圧迫の話が中心となり、医療や政 策を中心とした合併論を進めることが困難でした。これは芽室町だけではなく十勝を含む道内の市町村がそうであったと思います。大きな合併をした場合、例え ば帯広市を中心としてその中に小さな町村が含まれる形を縦型ネットワークとすると、この場合、大きな市の財政や議会構造の中に小さな町村が含まれるので、 スピーディな行政や財政コントロールを効かせるといったことには適しているといえます。それに対し、横型ネットワークは町村の力関係や財政、人口に関係な く色々な町村間でパーソナルシップを組んで弱い所は補い、強い所はそれを推していくといった広域連合の考え方です。我々の研究会では、横型ネットワーク、 すなわちできるだけ合併ではない形の中で広域連携を目指し、今まで各市町村がやってきた政策、強みの部分をできるだけ継続し伸ばしていくことが大事なので はないかと考え議論を進めています。


福祉の立場から

本別町総合ケアセンター 主任 木南孝幸 氏
  今年福祉のまちづくり宣言をするのにあたり、これまで本別町が取り組んできたことというのはかなり歴史があります。平成5年の高齢者保健福祉計画にあた り、自治会中心の住宅福祉ネットワーク事業、またとりわけ平成8年には地域包括医療推進構想の策定にあたって、平成12年に町国保病院、総合ケアセン ター、老人保健施設の3施設からなる「太陽の丘」を造り、医療・保健・福祉の統合をはかりました。このことは、その後の福祉領域における住民との様々な協 働事業のスタート地点になりました。その後、平成13年に、町では初の住民主導による条例づくりが行われ、「健康長寿のまちづくり条例」が制定されまし た。これは福祉を住民みんなの課題として町民をパートナーにしたまちづくりを進めていこうとしたもので、この条例を基に現在保健福祉政策を推進していま す。また、地域福祉計画を平成16,17年度の2ヶ年かけて厚生労働省の(地域福祉)モデル指定の確定を受けました。
  これまで福祉に対する町全体の意識改革を中心として取り組んできましたが、これからの福祉は自助、共助、公助の3つの部分の考え方を住民の皆さんといかに して共通し理解し合い、それぞれがその考え方に基づいた役割分担のもとに、色んな協働の作業の場面を作り上げていくといったことが非常に重要ではないかと 考えています。



医療ソーシャルワーカーの立場から
公立芽室病院医療ソーシャルワーカー 竹内かおり
  医療ソーシャルワーカーは、病気が引きおこす生活上の心配ごとや問題についてご相談に応じる社会福祉の専門職です。院内では、発症間もない時期から治療を 経て社会復帰や社会参加に向けた全期間を通じて医師を中心に専門職と協力するチームの一員として、院外では地域関係機関や当事者、ボランティア関係者と協 力・連携し問題の解決を目指します。また、相談者に対しては、ゆっくりと話を伺い、迷いや不安、悩みをうけとめ、考える時間を共有し、問題に対して次の一 歩を踏み出すための援助活動を行います。
 医療ソーシャルワーカー業務の中で「地域連携」「地域活動」は職務上重要な視点と考えられています。医療機関においても「地域で暮らす生活者」へとの視 点をもつことが求められています。日常業務においても、関係機関との調整連携を取る中でまた、町内保健福祉担当の会議に出席する中で地域に視点を広げるこ との必要性を学んでいます。最近の医療・保健・福祉制度の変化は著しく、社会資源は複雑化し、関係機関も細分化・専門化しています。相談者が効果的な社会 資源の活用を行う為に、タイムリーで正確な情報提供が求められます。今後の課題としては、@当事者から得た、生きた資源を社会システム構築につなげていく ために地域の関係機関(行政や医療福祉機関等)への投げかけをすることで形にしていけるよう関わっていくことAひとりの相談者に対して大切に援助活動を 行っていく中から、さらに充実した方法論を模索していくことB当事者間の力というものに着目して、セルフヘルプグループとの連携により当事者から学んだこ とを次の相談者が活用できるよう伝えたり、当事者同士の相互交流など、ソーシャルワーク機能の拡張に関わることが出来ればと考えています。


産科病棟の取り組み シリー ズ4

母子同床    

赤ちゃんにやさしい病院(BFH)をめざして

当院では赤ちゃんにやさしい病院(BFH:Baby Friendly Hospital)を目指しています。道内では既に3つの病院が認定を受けていて、当院も次に続く病院としてがんばっています。

公立芽室病院における
母乳育児基本方針

1.当院は母乳で育てたいと願う母親の声に応え、母子がその絆を 育むことができるように、WHO/ユニセフの共同声明である「母乳育児成功のための10ヶ条」に基づいて母乳育児を推進します。

2.妊娠中は
妊産婦検診時やお母さん教室で当院の母乳育児基本方 針について説明し、母乳の利点と母乳育児に関する正しい知識を伝えます。

3.出産直後は
・カンガルーケアを行い、早期に授乳が出来るよう 支援します。
・可能な限り、カンガルーケアから終日母子同床を行います。

4.産後は
・乳汁分泌を促進するために赤ちゃんの欲求にあわせて 何度でも授乳をおこない1日8回以上の授乳を支援します。
・医学的に必要とされない限り、新生児に母乳以外のものは与えません。
・人工乳首やおしゃぶりは与えず、必要時はカップを使用します。

5.退院後は
・退院後も不安なく母乳育児を続けていけるように母乳育児相談外来・2週間健診にて母子を支援していきます。
・母子が地域へ帰ったのちも母乳育児が継続できるよう退院後に、母乳育児サークル「めむろ☆はくHugの会」を紹介します。

当院では、赤ちゃんを「しっかり抱いて、見つめて、語りかけて」
オッパイを飲ませていくことを応援していきます。

メタボリックシンドロームに喝!vol.1

Aさん(♂)
・54歳
・173cm
・85Kg
161mg/dl
血糖値(70〜110)
96mg/dl
Bさん(♀)
・45歳
・165cm
・55Kg
5.4% HbA1c(4.3〜5.8) 4.3%
213mg/dl 総コレステロール(130〜219) 252mg/dl
83mg/dl 中性脂肪(50〜149) 372mg/dl
56mg/dl HDLコレステロール(♂40〜80♀40〜90) 60mg/dl
98cm 腹囲(♂85以下♀90以下) 77cm

 健診で「肥満」「高脂血症」「高血糖」を指摘される一は多い。食事と運動の調節で健康な体を取り戻せないか。医師・栄養士の指導を受けながら2人がどのように変化していくかを追う。